スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
だって、桜庭くんは……初対面でキスしてきたんだよ? 結局4回もキスしたんだよ? 1度もキスしていいかなんて聞かなかったんだよ? それなのに。触ってもいいか……聞くなんて。
胸が痛くて、言葉がまとまらない。どうしよう。だって……だって、私は……桜庭くんがたくさん傷ついていたのに、きっとすごく寂しかったはずなのに、悲しかったに決まってるのに、そんな事考えもしなくて、全然傍に居てあげてもいなくて……
「泣かないでよ」
「泣いて……ないよ」
「泣きそうな顔してる。……笑ってよ。俺、笑ってるとわが……好きだよ」
頬に触れていた桜庭くんの手が耳元を掠めて頭の後ろに回って、私の頭は桜庭くんの胸に抱き寄せられた。私の身体を包み込むように桜庭くんの腕が回される。
包み込まれた温もりも、匂いも、全部が懐かしくて、愛しくて堪らなくなる。この腕の中がずっとずっと恋しかった。
桜庭くんは私の身体を軽く抱いて、それ以上強くは抱きしめてこない。だから、私はその胸に頬を擦り寄せた。
「とわ」
耳元で優しい声が名前を呼んで、桜庭くんの手が頭を撫でてくれる。顔を上げると桜庭くんと目が合った。