スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
ほかの部員が帰るのを待ってから、桜庭くんは私に話しかけてきた。
「とわ 猫好き?」
「好きだよ」
こっちおいで、と手を引かれて、極々自然に桜庭くんの足の間に座らされた。
「え、えーと……」
「ん?」
「な……なんでもない」
あまりの近さに顔が熱くなる。背中には桜庭くんの胸が触れていて、薄手の夏制服越しに感じるその温度が心地よくて、ドキドキする。
「とわと2人なの久しぶり。夏休み、結局会えなかったし。会いたかった」
桜庭くんはサラリと言って、私の身体は背中から包み込まれるように桜庭くんの腕の中に閉じ込められた。
「そうそう、さっき部活で回ってきた猫動画、超可愛いかった」
桜庭くんがそう言って、再生してくれた動画は確かにとても可愛い猫動画だった。
「部活でこんなの回ってくるの?」
「回ってくるよ。サッカーの神プレーに混じって、『ここからはぬこのターンだ』とか言って、猫動画ガンガン回ってくる。試験期間の夜中とか特に。みんな勉強嫌になってるから」
サッカー部って、女の子はマネージャー2人だけで他はみんな男子なんだよね? そんな男の子だけで、猫動画観てるの? と素朴な疑問をたずねると、「野郎だけだから、変なテンションなんだよ」と苦笑いで返された。