クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「私にそんな顔をするなんて……」

「え……?」

「い、いや。なんでもない」

一瞬、ジークの瞳が戸惑うように揺れて細められる。

(ジーク様、私……)

ぶっきらぼうなところもありながらも優しくジークの優しさに包まれると、呼吸までおかしくなりそうだった。

(私にジーク様の手助けができるようなことがあれば……)

どうしようもなく彼に惹かれつつある事実を、アンナは認めたくはなかった。ましてや国王に恋心を抱くなど、あってはならない。けれど、ずっとこのぬくもりを味わっていたい。傍にいたいという矛盾する気持ちに困惑を隠しきれなかった。

身を捩ればすぐにでも唇が触れてしまいそうな距離、そしてなんとなく唇を求められているような気がして恥ずかしさが募る。
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