クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「アンナの警護を強化しろ」

「え……?」

怒りで震える声でそう言い放つと、レオンが戸惑いながらもその懸念を口にする。

「けど、兄上だって狙われるだろう? なぜあの子を?」

「ベアトリクスが脱獄したということは、内通者がいるということだ。おそらく……アンナがバンクラール卿の娘であることも、私の庇護下にあることもすでに知っているはず。ベアトリクスはアンナを狙って……私を苦しめる気だ。あの女は、そういうやつだ」

外に解き放たれたベアトリクスの高笑いが今にも聞こえてきそうで、ジークはやり場のない怒りを禁じ得ず、拳を壁に叩きつけた。

「兄上……」

普段、冷静沈着なジークなだけに荒々しい行為を目にしたレオンはビクリと身体を震わせた。

「僕もすぐにソフィアに合流しようと思う」

「ああ、そうしてくれ……」

一瞬、嫌な予感がした。
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