クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
それを聞いて思わず裏返った声が出る。いったいなにを言っているのかと耳を疑った。ミネアもなにも言わず黙っている。

「わ、私が……お城で? じゃあ、トルシアンはどうするの?」

ここの食堂で出すメニューはアンナがすべて仕切っている。自分がいなくなればいったい誰が店の料理を作るのか。そんな不安と疑問が入り混じる。

「それは問題ない。俺がお前の後を継ぐよ。それに、城で働いていればいつかサルベール講堂を覗き見る機会がくるかもしれねぇぜ?」

「ちょっとあんた。アンナは女の子なんだよ? そんなはしたない真似するようなこと言わないどくれ」

ミネアに小突かれると、ボブロがニヤリとして頭を掻いた。ミネアの言うこともわかる。しかし、アンナはボブロが言ったその “機会”に魅力を感じずにはいられなかった。
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