クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「アンナ、少し話があるんだがいいかい?」

珍しくビールも飲まずにボブロが改まる。

「どうかしたの?」

「う、うん……」

歯切れが悪く、ボブロはしばらく言葉を考えて口を開いた。

「王宮料理長をそろそろ引退しようと思ってるんだ」

「……え?」

あまりにも突然の引退宣言に、アンナが目を丸くしているとミネアがボブロの隣に座った。全く驚いていない様子から、ミネアも前から彼が引退することを知っていたのだと悟る。

「い、引退って……」

「もういい年だしな、実は国王様にはもう話してあるんだ。それで、引退する条件を出されてな」

毎日朝早く、そして夜も遅い。なおかつ馬車で片道一時間の道のりは老体にはきつい。アンナもわかっていたが、いきなりそんなことを言われて戸惑う。

「それでその条件っていうのがな……俺の代わりにお前が王宮の調理場で働くことだそうだ」

「えっ!?」
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