クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「階段から落ちてしまって……」

壁にはたいまつの刺さった燭台もある。足元はそれなりに鮮明だというのに階段から落ちるなんて、と言いたげなジークの冷たい視線が痛い。こんなみっともない姿、誰にも見られたくはなかったが、運悪くジークに見られてしまった。

(ああ。私、国王様の面前で何やってるんだろ)

情けないやら恥ずかしいやらで、アンナはジークをまともに見ることができない。すると。

「見せてみろ」

「え? あっ」

ぐいっと二の腕を取られて支えられると、アンナは階段に座らされた。そしてジークは目の前で片膝をついたかと思うと徐にアンナの靴を脱がせ始めた。

「痛むか?」

足首にズキリと痛みが走ったが、アンナは唇を噛んでふるふると首を振った。

「痛っ……!」
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