クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「娼婦遊びは別に珍しいことではない。しかし、レオンの遊び癖の悪さはお前も覚えておくといい」

そう言ってジークはぽんっとアンナの頭に手を載せた。子ども扱いのようで不快に思うどころか、なぜかアンナは心地よかった。

「この娘、足首を痛めているようだ。あまり無理をさせるな」

「承知いたしました」

ジークに言われ、マーヤは再び深々と頭を垂れた。

アンナがマーヤに引き渡されるときだった。お礼を言おうとジークに向き直ると、自分を支える左腕に視線がいき、ふと指先を見た。

(……指輪?)

暗がりの中できらりと光るものが見えた。ジークの中指に見覚えのある印台のついた金の指輪。アンナは視線が縫いつけられたようにじっと指輪を凝視した。

(まさか……!)
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