クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ああ、もう大丈夫そうですね。でも、患部が落ち着くまで無理は禁物ですよ。後、三日分同じ薬を出しておきましょう」

シュピーネは羽織っている外套と同じ深緑色の帽子を被り、広いつばを指で摘まんでクイっと下げた。

「薬を塗って問題なければもうここへ来る必要はありません」

「本当か、ああ、これも全部シュピーネさんのおかげだ。金も支払えねぇのに……けど、ここへ来る必要がなくなるのもなんだか名残惜しい気もするなぁ」

「健康な人に医師は必要ありませんから」

シュピーネは老人の顔も見ず、いつものようにぶっきらぼうな口調で言うが、そんなことは気にもせず、老人はにこにこ顔で部屋を出て行った。
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