クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
列に並ぶ街人は全員、治療費がなくて怪我や病気の傷み苦しみに耐えることしかできない貧困層の者ばかりだった。シュピーネは自称医師で、週に一度だけ夜のマーランダ施療院の地下室で診察を無償で行っている。
しかし、口元を布で覆い、顔をつばで隠したシュピーネの素顔を見た者は誰ひとりいない。声だけで若い男という認識はあったが、かと言ってシュピーネを訝る者もいなかった。明日、野垂れ死ぬかもしれないその日暮らしの街人にとって、そんなことを考える余裕はないのだ。金持ち貴族がはびこるこの王都で肩身の狭い思いを虐げられている貧乏人には、むしろシュピーネは神のようなありがたい存在だった。
「シュピーネさん! ああ、どうか助けてください!」
老人が出て行った後、すぐに三歳くらいの女の子を連れた母親が血相を変えて部屋に入って来た。
しかし、口元を布で覆い、顔をつばで隠したシュピーネの素顔を見た者は誰ひとりいない。声だけで若い男という認識はあったが、かと言ってシュピーネを訝る者もいなかった。明日、野垂れ死ぬかもしれないその日暮らしの街人にとって、そんなことを考える余裕はないのだ。金持ち貴族がはびこるこの王都で肩身の狭い思いを虐げられている貧乏人には、むしろシュピーネは神のようなありがたい存在だった。
「シュピーネさん! ああ、どうか助けてください!」
老人が出て行った後、すぐに三歳くらいの女の子を連れた母親が血相を変えて部屋に入って来た。