夜になったら

小学校1年生の時だった



お父さんが死んだ





お父さんが、死ぬ?


もう、会えない?


みまのお話を聞いてもらうことも出来ないの?


もう、手を握れないの?


お父さんのベッドでゲームをすること出来ないの?


もう、笑ってくれないの?


もう、泣いてくれないの?


名前、いっぱい呼んで欲しかったのに


魅舞、魅舞って呼んで欲しかったのに


頭、撫でて欲しかったな





沢山、沢山、溢れ出てくるものは涙だけじゃなくて


あたまがぐるぐる、ぐるぐるして


声にならない声で叫んで、病室を飛び出して


廊下の椅子で泣いて、泣いて、叫んで、泣いた。


看護婦さんが、優しく頭を撫でて言ってくれた。


「魅舞ちゃん、お父さんはね、魅舞ちゃんのそばにずっといるんだよ。目を閉じたらいつだってそばにいてくれるの。声だって聞こえるはず。」


あの頃の私にはまだ、その意味がわからなかったけど、

看護婦さんの、優しい声と、頭を撫でてくれる手に

どれだけ助けられたかはわからない。



< 3 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop