サイドキック






「香弥のカレには本当に悪いことしたと思ってるよ?でもでも弁解ならアタシがするし!」

「か、彼氏じゃないってば!何回言えば分かるの―――」

「はい照れなーい、照れない!」



パチンと星が飛んできそうなウインクでそう述べた彼女は、「これも人助けだと思ってー」と此方の肩をぐわんぐわん揺らす。

手加減無しのそれに忽ち白旗を振りかざした私。脳みそシェイクされそう。







本当の話、ヒロヤに関する話題を振られる度に尋常じゃ無いほど早鐘を打つ心臓に困り切っていた訳で。

それを周囲に悟られないよう眉根を寄せてぶっきら棒な言葉を返す。

その行動自体が彼女たちの餌になっていたなんて、恋愛経験ゼロの私は知る由もなく。







「あ、女子は来たみたいだよ」




個室となっている間の向こうから聞こえてくる高めの声音。

一見して複数のものと判るそれに隣の彼女へと言葉を向けると、「やっとか」と零し口角を上げて笑みを零した。








「ごめーん遅れた」と口にしながらテーブルの横に置かれている椅子に荷物を下ろした彼女らは、いつも大学で見る姿よりもずっと綺麗に着飾っていて。

半ば感心の思いでそれを見詰める傍ら、少しだけ羨ましさを感じてしまったり。









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