未知の世界6

そして始まった外科研修。
午前中は研修に先立って院長からのお言葉や事務の人から勤務についての話を聞いてお昼を摂ると、午後からはすぐに小児外科へ向かった。




小児外科はうちの小児科と同じ規模だけど、小児科とは別で医局がある。
小児科と外科に挟まれた形で医局があり、どちらとも速やかな連携が取れるようになっている。




小児科、小児外科、外科の三つの医局に挨拶を済ませると午後3時からオペの見学が入っていた。





第二やごな病院はうちのやごな病院よりも後にできているため、うちの病院よりも遥かに大きな病院で、病床数も倍ある。オペ室もドラマで見るようなオシャレなデザイン。




ここに来る機会は二回目。
前回は見学が中心だったけど、今回は違う。縫合や簡単な助手をさせてもらえることになっている。





二回目ということで、医局の先生も見たことのある人ばかり。
私のことは問題な事件もあったからなのか、それとも女医だからか、覚えていて声を掛けてくれる人もいる。





『かなちゃんっ!久しぶりだね。元気にしてた?』





そう声をかけてくれたのは、小児外科のエースである岡本先生。
気さくで私のような下っ端にまで声を掛けてくれるけど、言いたいこともズバズバ言うので、何を言われるのか毎回ビクビクしてしまう。





「は、はい。ご無沙汰しております。今日からよろしくお願いします。」





あたふたしながらも言いたいことは言えて、少しホッとする。





『こちらこそよろしくね。僕は研修の君たちの直属の上司になったから。



あ、そうだ。
呼吸器内科の椎名先生が帰る前に顔を出してくれって。



オペは2時間もしないで終わる予定だから、終わったらすぐに行ってあげて。』





「は、はいっ。」





椎名先生……その方が幸治さんの知り合い…かな。
今度は岡本先生にまで私の吸入のことが伝わっていて、迷惑を掛けているようで申し訳ない気持ちと、それ以上に、先に耳に入った、岡本先生が直属の上司だということがとても気になってしまったけど、今は3時からのオペの準備……。






たけるとオペ室に向かった。
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