未知の世界6

部屋はどうなっていたかな…フル回転で昨日のことを思い出す。
進藤先生と幸治さんの飲み明かした後はどうなっているだろうか。





ゲストルームでもないけど、進藤先生がほとんど寝止まりしていく部屋は綺麗だろうか…





部屋に着いたらまずはどうしたらいいのか…。ご飯?それともお風呂?






色々なことが頭を巡っていたけど、そういう時のエレベーターはものすごい速さで上がって行く気がする。






気付くと玄関の扉を開けていた。






ガチャ





扉を開くと……






あ、靴が二足?






見覚えのある靴が二足。





「お母さんと、お父さん……?」






『たぶんな。』





となぜに椎名先生が知っているのだろうかと思いながら、お客さん用スリッパを取り出し、椎名先生に進める。






『ありがと。』





と言いスリッパを履くと、スタスタと私の前を歩いてリビングに向かう。






リビングを椎名先生が開けると、






『お久しぶりでーす。』





と軽い挨拶で入っていく。





お久しぶり?





『おぉ、よく来てくれたなぁ。』





と私も少し久しぶりなお父さんが、我が家のようにソファに座っている。
そして台所にはお母さんが立っていて、テーブルの上には料理がずらりと並んでいる。







「お母さん。」





その姿に感謝しかない。
たった今まで私が巡らせていた段取りは一気になくなり、スッと楽な気持ちになった。







『かなちゃん、おかえり。




椎名くん、久しぶりね。』






そう言ってお母さんも椎名先生と顔なじみのよう。






上着を脱いで、我が家のように洋服掛けに服を掛ける椎名先生の隣で、つい、ボーっと立っていると、






『かなちゃん、元気にしてたか?』





そう言ってソファから立ち上がったお父さんに、きつく…いや厚く抱擁される。






「は、はい。」







『よしよし。』





と頭を撫でられる。





『かなちゃんも着替えておいで、もう幸治も帰ってくるから。』





そう言われて、この様子なら椎名先生は大丈夫だろうと確信して、部屋に荷物を置きに行った。






< 41 / 163 >

この作品をシェア

pagetop