ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
紗奈は、子供が出来れば俺は親父に支配されずに済むのではないかと言ってきた。
やる価値はあると思った。
子供がいる二十歳の男子に金を請求なんてしてくるわけがないから。さすがに親父もそこまで狂ったやつではないだろう。
でもそんなのをやる意味なんか、なかった。
「暮月さん、貴方は無精子症です」
一夜を明かしてから一年か経っても紗奈に子供が出来なくて、病院に行ったらそう言われた。
「……なんすかそれ」
「端的に言うと、子供ができません。手術をすればできる可能性はありますが、しますか?」
先生が手術の注意事項を説明した。傷跡が残るかもしれないとか、手術が終わっても一週間くらいは痛みが続くとか。
病院を出た俺は、言われた内容を全部頭の隅においやった。――できるわけないから。
手術はしたかった。でも、俺はそれができる環境にいない。
検査ですら、親父に客を迎えに行くとか大嘘を言わないと来れなかった。検査の金も、当然のように自分で払う羽目になった。
それで手術なんてできるわけがない。日帰りで受けられるらしいが、問題はそこじゃない。
手術日に金を稼げないことだ。――稼がないと心を殺される。
飯を抜かれ、クローゼットとかに閉じ込められる。あるいは気絶するまで殴られてから閉じ込められんのかな。
どっちも最悪だ。ありえない。そんなことならこの体のまんまでいい。
「紗奈……どうしよ」
俺のことはどうでもいい。でも紗奈はこの体のことを知ったらショックを受けるかもしれない。受け入れてくれないかも。