ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「……光輝はたぶん、嬉しいんじゃないか。やっと兄みたいな人ができたから」
俺の隣にいる兄さんが口を開いた。
「兄みたいな人?」
兄さんを見て、俺は聞き返した。
「ああ。俺は光輝より歳上だけどこの間まで寝たきりだったから光輝より知らないことが多くて体力もなくて、兄としては本当に頼りない。その一方で、紅葉はホストの子とはいえ高卒の資格を持っているからたくさんのことを知っているし、頼りがいもある。だから、一個違いで血も繋がっていなくとも、光輝は今紅葉を兄みたいに思って慕っているんだと思うよ」
「……違う」
小さな声で、俺は言った。
「妖斗?」
「体力も知識もなくても、兄さんは俺にとっては優しくて頼りがいのある大事な兄さんだもん。……代わりなんて居ない。それに今ないなら、これから付けていけばいい」
兄さんの腕を掴んで、俺は大きな声で言った。
「妖斗、俺もう二十歳だぞ。今更勉強なんてしたって……」
自虐するみたいに、兄さんは言った。
「それでも覚えられる兄さんなら!」
「なんで」
「だって、……喰蝶に会うまで兄さんテスト百点か九十点代しかとってなかったじゃん。……昔は昔になんかさせない。兄さんは昔も今も、頭が良くて優しい自慢の兄さんだ。世間がそうじゃないっていうなら、世間がそういう未来を俺は作る。何がなんでも」
絶対に作ってみせる。
「ハハ。……本当に、最高の弟だな」
俺の頭を撫でて、兄さんは涙を流しながら笑った。
十年前の頭の良さを当てにしたって仕方がないのかもしれない。それでも俺は兄さんがこのまま無知なのも、自虐してばかりなのも嫌だから。一緒に勉強して賢くなって、兄さんと一緒に大人になりたい。
いや、なってみせる。