ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~


「……話聞くのはお前だけか?」

 紅葉さんが首を傾げて俺を見る。

「……はい、すみません。紅葉さんも居場所を知らないなら、その方がいいかと思って」

「そっか。ま、それが正しいだろうな。最善だ」


 口角を上げて、紅葉さんは頷いた。


 紅葉さんは、マンションの202号室につくと、ズボンのポケットに入っていた鍵でドアを開けて、中に入った。

 紅葉さんは靴を脱ぐと、玄関を抜けたとこにある廊下の左側のドアを開けて、その中に入った。そこには、洗面所とお風呂場があった。

洗面所は、異様な雰囲気を醸していた。
床と壁にたくさんの血がついている。
まるで喧嘩の後みたいだ。ここで上司と揉めたのか?

紅葉さんは洗面所のそばにある棚から救急箱とタオルを取り出すと、それを俺に渡してきた。

「ここは汚ぇから、ダイニングで話しようぜ。

「……はい」

俺はタオルと救急箱を受け取ると、洗面所を出て、ダイニングに向かう紅葉さんの後を追った。


ダイニングは、廊下のつきあたりにあった。
紅葉さんはダイニングにつくと、そこの中央に置かれたテーブルの前にある椅子に座った。

俺はテーブルの上に救急箱を置くと、ダイニングの端にあったキッチンの蛇口を回して、タオルを水で濡らした。
蛇口の水を止めてタオルをよく絞ると、俺はそれを持って、紅葉さんのそばにいった。

紅葉さんは血まみれの足を眺めて、嫌そうに顔をしかめていた。

俺はしゃがみこんで、紅葉さんの足にタオルを当てた。

「……あ、ありがと」

「……はい」
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