ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~


「ないんですか?紅葉さんには、帰れる場所とか、居場所とか…」

「ハッ、そんなのあるわけねーじゃん」

 吐き捨てるように、紅葉さんは言った。

「それなら、……俺たちの家を「ストップ。それ以上言わなくていい。お前、名前は?」


「えっ、八尾光輝です」


「じゃあ八尾、俺のことはもういいから、さっさと妖斗を探しにいけ。……もう、俺のことは忘れろ」


 俺から目を背けて、紅葉さんはいった。

「何でですか?」

 
「……何でもないだろ。これからニートになるかもしれないバカを拾ったところで、利点なんかない。どうせ家計がくるしくなるだけだ」


「でも……「やめろ。……お前、お人好しも程々にしろよ。そのうち、ひでぇことに引っかかるぞ」



 目を背けたまま、俺を諭すかのように紅葉さんは言う。


「利点がなきゃ、一緒にいちゃいけないんですか!!」


 紅葉さんは俺の方を見て驚いたように目を見開いた後、また顔を背けた。

「そういうのを、俺に向かって言うな。

……俺は、わかんないんだよ。家族ってなんなのかとか、恋人ってどういうものなのかとか、そういうの全部。

今まで人間関係よかった奴が、ろくにいないんだよ……。そんな奴といて、楽しいわけないだろ……」


「楽しくないから、一緒にいちゃいけないんですか!」


 紅葉さんは唇をかみ締め、顔を両手で隠す。


「そうじゃないけど、でも、俺は……」


 頼りげのない声を出して、紅葉さんは言う。








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