そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「ああ、すまない。八雲にはこれから連絡しようと思っていた。先程、山村から全て終わりにしたいと言われたよ」

「へっ?ど、どういうことですか?」

八雲さんの眼鏡の奥のつぶらな瞳が大きく広げられる。

「山村もこの堂々巡りの長丁場に疲れたんだろう」

彼は深呼吸をするようにゆっくりと息を吐き、私の頭に手を置いた。

「そして、今回はこの友梨が一役買ってくれてね。まぁ、話せば長くなるから割愛させてもらうが、とにかくこの件はもう終わった。関係者にはその旨取り急ぎ伝えておいてくれ」

「は、はい!これは朗報ですね。すぐ社に戻って連絡手配しておきます!」

八雲さんは上着のポケットにハンカチを戻すと満面の笑みで東條さんに頭を下げ、急いでエレベーター横の階段をかけ上っていった。

八雲さんが駆け上った階段の壁側にある細長い窓から明るい日差しが差し込んでいる。

「友梨」

「はい?」

声の方に顔を上げた瞬間、東條さんの顔が近づき羽毛が触れるようなキスをされた。

東條さんは急にキスされて驚いている私を見て微笑むと言った。

「俺のそばにいてくれてありがとう」

そして、私を抱き寄せると耳元でささやく。

「これからも俺のそばに・・・・・・」

再び唇を塞がれそうになり、慌てて彼の唇の前に自分の手のひらを当てながら言った。

「これからもずっとそばにいさせて下さい」

どうしても私から言いたい言葉だった。

好きとか愛してるとか、そんな言葉よりも、私にはその言葉が一番自分の気持ちを正直に表していると思ったから。

「今夜は長い夜になりそうだな」

東條さんはいつものように意地悪な笑みを浮かべると、さっきよりもずっと深く私の唇を塞いだ。

彼の首に自分の腕を巻き付けながら、これから家族に東條さんのことを認めてもらい、フランスへの実地研修の準備で忙しくなるだろう日々を想う。

だけどそれは不安よりも希望に満ち溢れた未来に繋がる日々。

彼とならきっと乗り越えられる。

今の私には不思議なほどなんの心配もなかった。

こんなに清々しい気持ちになったことも初めてかもしれないくらいに。






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