そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
真知さんから、座談会の3つのテーマを教えてもらう。

一つは「ハピーオフィスの経営方針」、二つ目は「今後の経営展開」、三つ目は「現在のハピーオフィスに思うこと」。

私以外にあと4名の座談会参加者がいて、それぞれのテーマに対して一人ずつメイン担当を決めたいとのこと。

私は三つ目の「現在のハピーオフィスに思うこと」についてメインでGMと語ってほしいと言われた。

「三つ目のテーマは内容が広いですね」

真知さんから手渡された、テーマに即した質問例の一覧を目で追いながら言った。

「そうね。広いから自由に発言してもらっていいわ。GMにも少々失礼なこともオッケーしてもらってるから。ハピーオフィスを利用していい点、悪い点、もっとこうしてほしいっていう要望もじゃんじゃん入れてほしいって」

「でも新聞に掲載されるのに、あまり悪い点は載せないほうがいいんじゃ」

「それもひっくるめてハピーオフィスとして皆には認識してもらう方がいいってGMが言ってたらしいから。そこは気にしなくていいと思う。さすが東條GMね。今や経営者としてぐんぐん名声を上げてるから恐いものなしだわ」

真知さんはそう言うと頬に手を当てにんまり笑った。

以前よりもGMとの距離が近づいた私には、今の真知さんのような気持ちにはもうなれないけれど、あの時よりもGMの魅力を知っている。どんなに傷付けられても嫌いになれない、それを覆い尽くすほどの存在感と人格を持っている彼のこと。

打ち合わせの後、久しぶりに真知さんと飲みに行った。

生き生きと働く真知さんを見ていたら、くだらないことで凹んでいる自分がばからしくなる。

真知さんと別れた後、GMのことも、山村さんのことも気分一新してまた明日から始めようと思っていた。

それなのに・・・・・・。

玄関の扉を開け中に入った時、足もとでぐしゃっと鈍い音がする。

慌てて電気を点けると、玄関のポストに大量の生卵が割り入れられて、それが玄関の床にまで流れ落ちていた。

これは。

週末の赤い『×』という文字が私の脳裏に嫌でも蘇ってきた。

心臓が自分の意思とは関係なく、激しく鼓動を打っている。

体が無性に熱くなり、息苦しい。

思わずその場にしゃがみこんだ。

恐い。
誰か、助けて・・・・・・。

私はその場から動けなくなった。
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