死後の光
静な 美術室に響く桜の声。
「ちょっと、先生に呼ばれてるから職員室いってくるね?」
「え?あ、うん」
桜は少し小走りに美術室をでた。
窓の外に目をやると、めまいをしそうなくらいに青い空が
広がっている。
「ちーっす!」
静かな美術室に聴きなれない声が聞こえ
勢いよく 入り口のドアが開き
男子ふたりの姿が見えた。
「あれー?あかりちゃん一人?」
山口翔と黒木涼平が
こちらをのぞいている。
寝癖のように乱暴にセットされた髪をかきながら
翔は美術室を見渡している。
涼平は、どこに視線をやっているかわからないくらいに
ボーっと生気を失ったような顔をしている。
おそらく
桜めあてで 来たのだろう。
「あ!桜なら今美術室に行きましたよ!!」
やっぱ・・涼平先輩・・
すごく 綺麗な顔してるなぁ・・・。
気づかないうちに翔の後ろに居る
涼平を見ている自分に気づき
目をそらす。
「へぇ~。 以外に美術室ってすずしいんだな」
「はいっ あんまり 日あたりがよくないですからっ!
あの・・・部活わ・・?」
いつもは 話した所をみたことのない涼平が 口を開いた。
「翔がどうしても来たいって・・ イッ!!
イッテエエエエエエ!!!!!」
翔が涼平の首に腕を回してしめつけている。
涼平は、苦しそうな顔をして
「ギブギブ!!」と叫んでいるが
翔の手は止まらない。
「涼てめぇー!!口軽すぎなンだよ!!」
「ゆるして!!」
先輩なのに子供っぽい二人を見ると
急に笑いがこぼれてしまった。
「ちょ!! 涼のせーで、笑われちまったぢゃねぇかよ!」
涼平は知らん顔をしてわざとらしく口笛をふいている。
「あの!! 桜ならしばらくは、帰ってこないと思います!」
「フーン」
二人はそっけない態度で返事をした。