死後の光

静かな放課後の美術室に響く
 二人だけの足音・・・。

 冬の時はもう今の時間は暗くなり始めているのに
 まだ、夏の空は、あかるくて
 青い空に
真っ白な雲がところどころにちりばめられ
 それは まるで
毎日素晴しい芸術家が書いたキャンパスのように
 規則性がなくて
美しい。

「ねぇ。あかりちゃん。」

 静かな美術室に桜の優しい声が響く。

「あの話・・・ 未来ちゃんから聞いた?」

「ン?? あの話って?」

「山口先輩と未来ちゃんのことなんだけど・・・」

 桜はもうしわけなさそうな顔でこちらを見ている。

「え!?何かあったの!!?
 ・・・もしかして・・」

「うん・・」

「子供ができちゃったとか!!?」

「ちっ 違うよっっ!
 そうじゃなくてね・・・。
 別れちゃったんだってぇ・・・」

 翔先輩とミライが仲良く歩いているシーンを
すぐに頭の中に思い浮かべる。
 だって・・・・
あんなに仲良かったんだよ?

 そんなの ありえないじゃん・・・

「話すべきか悩んだんだけどね。
 一番近くにいる私たちがやっぱり支えてあげないといけないと思って・・・」

 少し桜はうつむいて そう言った。


 あ・・・

じゃあ、お昼の時の

『どっかに良い男ころがってないかなぁ』
 って・・

 そういう 意味だったんだ・・

 私知らずにあんなこと言っちゃった。


「ねぇ・・・どうして別れちゃったの?」

「それが・・・分からないの・・・。
 聞いたけど答えてくれなくて・・・」

「そっかぁ・・・」

ボーっと天井を見つめる。

 あんなに仲良しだったのに・・・

 何があったんだろう・・・

 翔先輩モテるから

もう 未来のこと嫌いになったのかなぁ・・・。
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