最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
観念して理由を打ち明けた。
「……私が生まれたせいで母が亡くなったから、あそこにはいちゃいけないの。母は元々心臓が弱くて、私を産むのに身体が堪えられなかった。だから、死んでしまったの。私なんて産まなきゃ良かったのに……」
あの家にいると、自分が生きてちゃいけないという気持ちになっていつも父や兄に責められているように感じるのだ。
もうこっちに来て長いせいか、実家のことを考えるだけで息が苦しくなる。
あの家にいると、灰色の世界に閉じ込められているような気分になる。
兄と父との関係や自分が亡くなった母に似ていることについても話すと、ずっと黙って聞いていた彼が口を開く。
「お母さんがくれた命だよ。大事にしないと。お兄さんも来てくれたし、香澄も一歩踏み出してみた方がいいんじゃないかな?」
そう、兄は歩み寄って来てくれた。
でも……自分は殻を破って出られない。
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