最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
私の説明に彼は納得した顔で呟く。
「……香澄には必要なことだったんだな 。さあて、そろそろ戻るか。捜索隊が出動したら困る」
茶目っ気たっぷりに笑って、彼はトンと私の肩を叩いて歩き出した。
彼の横に並んで歩きながら、なぜあの店にいたのか聞いた。
「ランチミーティングだったのでは?」
「社長がいつも松花堂弁当ばかりで飽きたからって文句を言ってね」
慧は少し呆れ顔で言う。
「社長って結構我儘なんですね」
思ったことをそのまま言ってしまったが、彼は気にした様子もなくクスリと笑った。
「今度会ったら直接言ってやってくれ」
社長にそんな失礼なこと言える訳がない。
「じ、冗談言わないで下さい。即クビになります」
「それでクビにするような社長なら、俺が引導を渡してやるよ」
本気か冗談かわからないが、慧は不敵に笑った。



その日、仕事が終わると家に帰ってじっくり母の日記を読んだ。
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