最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
『らしい』というのは、私は母に会ったことがないから。
だけど、私が一枚だけ持っている母の写真を見ると、よく似ていると自分でも思う。
母は黒髪で目が二重で……唇は女らしくふっくらしていて……。
私を出産したから、心臓の弱かった母は死んだ。
私の誕生日が母の命日。
兄には小さい頃『お前がママを殺したんだ』って何度も責められた。
父は私を見ると母を思い出すのか仕事に没頭していて、家にはあまり帰らない人だった。
髪を染めてパーマをかけたのも、メガネをかけるのも、母を思い出さないため。
いつも使用している黒いフレームのメガネは、蓮見さんのマンションに置いてきてしまった。
食欲もない。
気分は判決を待つ罪人。
自分でもどうして蓮見さんとああなってしまったのかわからない。
恋愛はしないって心に決めていたはずなのに……な。
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