最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
胸の傷のこともあるが、私には恋なんて許されない。
幸せになってはいけないのだ。
多分……必要以上に彼に近づき過ぎた。
蓮見さんに会ったあの夜、まだ仕事が残っていると言ってもっと仕事をしていればよかった。
そうしていれば、ただの上司と部下でいられたはず。
人の家に入ったのは恥ずかしい話だけど、彼の家が初めてだった。
生まれてからずっと他人とも身内とも……ある一定の距離を保って接していた。
蓮見さんと一緒だとその距離感が狂ってしまう。
身支度を整えると、部屋の脇に置いて置いた紙袋に目を向けた。
その中には、蓮見さんにお借りした部屋着が入っている。
もう洗濯済みだが、いつ返していいかわからない。
それを見てハーッと重い溜め息が出た。
今日返す勇気はない。
見なかったことにして七時過ぎに自分のアパートを出る。
会社の始業時刻は九時。
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