最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
「食べる。匂い嗅いだら、お腹また空いてきた」
どんぶりにうどんを入れてテーブルに置く。
「ホントはもっと煮込んだ方が味が染みていいんですけど」
「ああ、わかる。俺も煮込んだの好きだな。頂きます」
慧が手を合わせて食べ始めると、私も頂きますをして食べた。
「上手い。俺好みの味。だし汁の色が濃いってことは、香澄は関東出身?」
彼は箸を持った手を止めて私に訊ねる。
「いいえ……あっ、ううん。福井。でも、料理は母に習ったわけじゃないから、関西風とか関係なくて全部自己流です」
私の説明に慧は真剣な表情になり、考え込むように頷く。
「福井……なんだな。そうか……」
微かに彼が『やっぱり』と言ったような気がした。
「どうかしたの?」
慧の様子が気になって聞けば、彼は頭を振った。
「いや。なんでもない。俺の母方の祖父母の実家も福井にあるんだ」
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