最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
慧の話に驚きつつも、ニコッとして彼に聞く。
「そうなんだ。じゃあ、福井に行った時、冬はこたつで水ようかん食べた?」
その話題に慧はクスッと笑った。
「ああ、食べた。従兄達と取り合いになった」
「何だか楽しそう。そういう賑やかなの憧れるなあ」
母は私が生まれた時からいなかった。
そんな私の家族は父と三つ上の兄。
父は医者で病院にいることの方が多く、兄とは仲が悪くて、一緒に食事をすることはあまりなかった。
食事を作るのはお手伝いさんで、いつもテーブルの上に置かれていた皿をレンジでチンしてひとりで食べていた。
たまに一緒に食事をしても、会話なんてなかったように思う。
苦行のような食事の時間だった。
「そんな夢見るような団欒じゃない。従兄と座卓の上のみかん投げ合って、じいさんに怒られたこともある」
彼の話にクスリと笑ってしまった。
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