隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー




「ううん、私が悪いの。…それなのに、今の湊人の気持ちに応える事も出来ない。ごめんなさい」



動揺を隠すように、左手で意味もなく変速ギアを変えた。
覚悟はしていたし、薄々わかってもいたが、それでも長年想っていた相手にこうして断られるのはやっぱりキツい。


「…好きな人がいるの」


付け足すように放たれた莉子のその言葉に、頭をガンと殴られたかのような衝撃を受けた。
もう別れてから随分時間が経っている。

莉子が俺以外の他の誰かの事を好きになっている今があるのはごく普通の事で、当たり前で。


頭では分かっていても、
その事実が心臓に苦しい。


…受け入れろ。
あぁそうかと受け入れろ、早く。


  
「わかった。返事してくれてありがとう、莉子。
言いにくい事言わせてごめんな」

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