隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー

そう答える声はいつもより上擦っていて。
う、嘘だろ。

及川湊人とは似ても似つかぬ自分の容姿に
落胆する。
いや別に、西野にタイプの芸能人がいたってそれは普通の事なんだろうけど。

「ほらどうしたの?きたよ」

頼んだ料理が厨房から運ばれてきて俺達の前に並ぶ。

西野が筒に立ててあった割り箸を一本取って、俺に渡す。

「ん」

「あ、ありがとう」

箸を受け取ると西野も自分の分の箸を割っていただきますと手を合わせた後、
顔にかかっていた髪を耳にかけた。
香りつくように綺麗な横顔に思わず魅入る。

そのままチャーハンを口に運ぶと
西野の瞳が一瞬少し見開いて、そして小さく顔がほころぶのがわかった。

「美味しい」

「だろ!よかったよかった」

何故だろう。
…自分が作った飯を美味しいと言われたレベルで喜んでいる自分がいる。
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