独占欲強めな同期の極甘な求愛

「……出て行って」
「え? は? どうした美麗」
「どうしたじゃないし! 嫌々食べてくれなくてけっこう! 今すぐ帰って!」

今日来てからろくに目も合わせていない。だらだらと食事も進まない。しかも花笑ちゃん花笑ちゃんって。

「もう、帰って!」

突然怒り出した私に、え? え? と困惑する臣に、スーツの上着と鞄を投げつけると無理やり玄関から出した。

「美麗! おい! 開けろよ!」

いまだ私の名前を呼び続ける臣の声を聞きながら、パタンと閉まったドアにもたれスルスルとその場に座り込んだ。

半分以上は嫉妬だということはわかっている。だけどこの時間をどれだけ待ちわびているか、臣にはきっとわからないだろう。彼にしてみれば、家庭料理を無償で食べられる便利な宿くらいにしか思っていないんだろう。

こんな態度とって、嫌われるかもしれない。でもこれは卒業のタイミングなのかもしれない。このまま距離ができて、嫌われてしまえば、きっとこんな風に虚しい気持ちにもならないし、臣のあのへらへらとしただらしない顔を見らずに済む。

これでいい。これでいいんだ。膝を抱え込む手に、自然と力がこもった。

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