独占欲強めな同期の極甘な求愛



昨日から色んな事がありすぎて仕事に集中できず、休憩がてらトイレに向かった。

今度ゆっくり聞かせてって言っていたけど、つまり水曜日に私を尋問しようという魂胆だろうか? ならば何もなかったってしっかり誤解を解かなくちゃ。

そんなことを考えながら中に入ると、鏡の前でお化粧直しをしている女性に目が留まった。すぐ花笑ちゃんだとわかった。

思わぬ彼女の登場につい見入っていると、鏡越しで目が合った。彼女は振り返り笑顔でぺこりと私に会釈する。その笑顔は臣が絶賛するのがわかるくらい可愛らしくて、女の私もドキッとした。

そんな私と入れ代わるように花笑ちゃんが出ていく。だけどすぐ、ん? なにか落としたことに気が付いた。あ、これ……ハンカチ。

「あの! 花笑ちゃんさん!」

追いかけながらそう呼び止めると、花笑ちゃんが足を止めきょとんとした顔でこっちを振り返った。その目を丸くした顔を見てしまったと思った。いきなり名前で呼ぶなんておかしな人と思われたかも。しかも花笑ちゃんさんって……。

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