明日こそ、キミに「好き」を届けます。

「……というか、不意打ちはなしでしょ……」


誰にも聞こえない声で、ちいさく呟く私。


桜庭が去り際に残した言葉。


────『それじゃあ、絵美ちゃん。またなー!』


「……っ!」


思い出しただけで、顔がカッと熱くなる。


あぁ……、でも、桜庭がここにいなくてよかった。いたら、絶対またからかわれてた。


桜庭は私をからかうときに、わざとらしく「絵美ちゃん」と呼ぶんだ。


「篠山」と苗字で呼ぶことのほうが珍しいくらい。


さっきのは、思わずだったのかもしれないけど、普段は私の反応を楽しむために口にしているから、本当にたちが悪いんだ。


……いつも、顔を真っ赤にさせてしまう私も私だけど。

< 5 / 29 >

この作品をシェア

pagetop