六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「部屋からお花見出来るね」
「いいな」
すっかり目の覚めた様子の晃くんと、ベランダで並んで、細い川沿いの桜並木を見る。
首都圏だけど、どちらかと言うと地方の国立大学に入学する私たち。
2DKのお部屋は、すぐにでも生活が始められそうなくらい片付いている。
「父さんたちが張り切り過ぎてて、母さんたち若干引き気味だったからな」
「頼りになるお父さんたちだよね。お母さんも奏子さんも、いい人と出逢えてよかった……」
そっと、ベランダの枠に置いた手に、晃くんの手が重なってきた。
「俺もだけど?」
「へ?」
「俺もいい人と出逢った。ってか、俺とさゆが出逢ってなかったら、母さんたちが仲良くなることもなかったんだからな?」
「あ、あはは。そうだね」
な、なんかこの手の自分の話題は照れますなー。
「持って来た荷物片付けたら、散歩がてら食材買いに出るか」