セカンド レディー
「何聞かれても、答えるつもりは無いから…」
話したところで、本当にあたしを助けてくれる人なんていない。
淡い期待なんて抱くだけ無駄。
そんなこと、あたしが一番よく分かってる。
「出会って数分の男にペラペラ話せるほど、軽いもんじゃなさそうだけど」
ほら、また…。
土足でズケズケ人の中に入ってくるこの感覚。
「なんで、分かるの…?」
「分かるっつーか、誰にだって言いたくないことくらいあるだろ?」
だから、そういうところだって…。
俯き、下唇を噛み締める。
「あたし、もう行くね」
これ以上、この人のそばにいたら、本当に全てを見破られてしまいそうで怖かった。
「また、死ぬ気か?」
「そんな事しないよ」
はは…っと乾いた笑みがこぼれる。
「んじゃ、俺も帰るわ。あんま無理すんなよ」
ぽんっと、頭に置かれた大きな手。
その手は皮肉にも心地よかった。
…変なの。
この日、
あたしは、優牙くんと出会った。