セカンド レディー

「なんでもなぁい。早速あたし、お風呂入るね」


バスタブにお湯を入れ、シャンプーやリンス、クレンジングなどをカゴの中に並べる。



「風呂上がったらちゃんとメシ食えよ」


それだけ言い残すと、彼は出ていった。



「…食べるわけないじゃん」


小さく呟いた言葉は、誰にも拾われず虚しく消えた。

別に食べることが嫌いなわけでもダイエットしてるわけでもない。ただ、あたしはここの人たちのことを信用してない。そんな人が作ったものを口にするなんて絶対できない。



着ているものを全て脱ぐと、浴室のドアを開ける。


蛇口から出ているお湯を一度シャワーに切り替え髪にかけた。


じっとり濡れるミルクティー色の髪。少しうねった髪も濡れると真っ直ぐになる。


シャンプーはアプリコットピーチの香り。寝る男が違えばもちろんシャンプーもその人の家にあるものやホテルのものと様々。

そんな中出会ったのがこのシャンプー。優しくて甘い香りがする、一番のお気に入り。
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