セカンド レディー
棚に積まれたバスタオルを1枚取り、体を拭く。
…と、ここであたしはあることに気がついた。
元々洗面所には、シャンプーなどを置きに来たわけであってお風呂に入るつもりで来たわけじゃない。そのため下着も服も全部部屋に置きっぱなし。
「…まぁ、いっか」
誰も見てないし。
見られても減るもんじゃないし。
そもそも裸なんて見られ慣れてるし。
もう1枚バスタオルを手に取り体に巻くと、洗面所のドアを開けた。
…ん?
なんか違和感。
あたしそこまで強く引いていないのに、開けられたドアにはスピードがある。
そして、開いたドアの向こうには一人の男。
「柚姫ちゃんさ、その格好で出てくるのはダメでしょ?」
あたしがドアを開けたタイミングと瞬くんがドアを開けたタイミングが奇跡的に重なり合ったんだと理解はした。
だけどさ…?
「瞬くんこそ、覗きに来るなんていい趣味してるね」
あたしがお風呂入ってたの知ってるよね?
それなのにわざわざくるのはそういうこととしか思えないんだけど。
「それは誤解。遅いから大丈夫かな〜って」
ニコニコ笑顔の裏には絶対になにかあるなと、直感的に感じた。