ありがとうって伝えたくて

出会い

「奈月(なつき)、次の授業遅れるよ!生物室遠いんだからさ。」



「あーん、待ってよー!教科書見当たらない。黒沼先生、忘れ物に厳しいんだもん。沙知(サチ)助けてー。」



「これ以上待てない、無理、もう行くね。」



この薄情な沙知は中学校からの仲良し。



同じ高校を受験したいと言われた時は心底嬉しかったし、何より安心した。



高校受験発表の日、2人で自分たちの受験番号が貼り出されてあった時は嬉しさと安堵で腰を抜かした程だった。



クラス発表の時も、一学年15クラスもある中で同じクラスになれたと知った時は無意識に涙が出て、沙知が頭を撫でてくれた。



< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop