犬猫ポリスの恋日常
「うん……まぁね」
千歩は首を傾げながらあやふやに答えるに留める事にした。
「いるの!?いるのね!いつから?どんな人?若いの?」
麻衣子は矢継ぎ早に質問を投げかける。
千歩にはそんな彼女の姿が興奮で心の導火線に火が付きかけているように見えた。
「お、お父さんにね……。日頃の感謝を込めて渡そうかなぁ……って」
苦しい誤魔化し方だと思う。
それでも、『刑事部のBlack Catに渡したいんです』と現状ではとても言えない。
さっきまで興奮状態だった麻衣子もその回答を聞いて「なんだぁ」と笑った。
爆発物は無事に処理できたようだ。
「お父さんはね、成人女子がバレンタインチョコを“渡す相手”には含まれないの。お父さんをカウントしていいのは小学生までよ?」
「だよね……」
麻衣子の持論は尤もで、千歩も苦笑する他無かった。