恋しくば
あたしたちの賭けはやはり賭けにはならなかった。
辻本の隣には一週間もしない内に彼女が並んでいたから。
「うわ、モテるねえ」
「いーなあ」
「カドだって辻本と仲良いじゃない、次フリーになったら付き合えば?」
「いや、そうじゃない。いーのは辻本の方。生まれ変わったら辻本になりたい」
講義前、隣に座っていた百鳥が頬杖をついてこちらを見る。
「それはやだ。面倒くさそう、断るの」
「確かに」
意見は一致した。
講義が終わると、学生が一気に講義室から出ていく。百鳥には食堂でテーブルを取ってもらい、あたしは教務課へと行った。