恋しくば
葛野誠という女

夜の仕事で大変なところは、酒に弱いとやっていられないところ。
その点、あたしは本当に恵まれていると思う。

「マコちゃんって地元どこなの?」

先輩のテーブルについて酒を作っていると、隣に座っていたスーツの男に話しかけられた。
にこりと笑顔を作ってみる。

「隣の県ですよ。タガノさんは?」
「俺はねー、雪がめっちゃ降るとこなんだ」
「じゃあ去年とかすごかったんじゃないですか? 近年稀に見る大雪だったって」
「そうそう。マコちゃんて頭良さそうだよね、もしかして大学生?」

どうですかねえ、とはぐらかす。

< 32 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop