恋しくば

全部表情に出ているのが面白い。

「でも、辻本が行きたがるような高い店は無理だから。安い居酒屋チェーンだから。そこは我慢して」

そう念を押したものの、駅前で焼き肉の食べ放題の旗を見つけたので変更。平日の早い時間というのもあって、個室のような席に通された。
タッチパネルで注文するらしく、二人でそれを覗く。

「葛野は何が好きなんだ?」
「カルビを食べよう。ハラミとロースも」
「肉以外は?」
「サラダとビビンバ。このじゃがバターも食べてみたい」

ぴこぴことボタンを押していく。辻本は目をぱちくりさせていた。

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