偽りの甘い罠
呼ばれて付いてきたはいいけど、どこ行く気?

その間もスマイルは欠かさない

ロビーから死角になる角を曲がると、中庭に続く出口
がある。

どうやらそこに行くみたいだけど、、、なんで?

秋の声も聴こえるこの季節は、暑くもなく寒くもなく
それに、花粉もない

一番過ごしやすい好きな季節だ

中庭に着くとずっと背中を向けていた青柳が
身体を返す

「あの話、忘れてないだろうな?」
「本当は忘れたいけどね、保身の為に忘れないわ」
「ならいい。今夜、仕事終わったら飯いくぞ」
「は?なんでよ。わざわざそんなことする必要は」
「あるんだよ。敵を欺くには先ず味方から、だろ?」
「味方って誰?」
「お前だよ。先ずはお前を取り込まないと話に
なんねーからな。お前、俺のこと嫌いだろ?」
「知ってたの?」
「あっさり認めるなよ。少しは傷付く」

傷付くとかあるの?

モテたことしかないから、案外繊細だったりする
のかな、、、


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