偽りの甘い罠
不意打ち
酔い醒ましに少し歩くことにした。

私のオレンジ色の折り畳み傘に、密着して二人で入る

ポツンポツンとはみ出した肩に雨粒が浸透した
繰り返し、何度も。

「有村」

ピタッと足を止めた青柳を仰ぎ見た

オレンジ色の傘の移りか、頬が心なしか染まってる

「なに?」
「俺が全力で守る。だから、、、もう、俺にしろよ」
「、、、え?それ、どういう、、」

ガサッ、、、

青柳の手から傘が意図的に放されると、私は抱きしめ
られていた。

落ちてくる雨と、青柳の吐息を感じながら、、、

地に落ちた傘は、その存在を忘れられたみたいに
静かに雨を受け入れていた

< 66 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop