別れても好きなひと
ふたりの話し声が聞こえなくなったかと思うと私の髪を優しくかきあげる温かい手の温もりを感じた。

私にはわかる。この手は大悟の手だ。

このまま…ずっといたい。

なにも考えず、なににもとらわれず、ただ大悟のそばにいられたらいいのに。




自分の感情がコントロールできなくなって閉じた瞳から涙が流れ出すと

「たぬきかお前は。」
と大悟はこれ以上ない優しい声で言う。

目を開けると大悟が両手を広げていて私は迷わずその胸に抱きついた。
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