別れても好きなひと
男は少し先で警官に羽交い締めにされ叫んでいる。

「莉子!」私は懐かしい大悟のぬくもりに強く包まれた。

「もう大丈夫。もう大丈夫だ。」

ここはもう大丈夫。大悟の胸の中にいれば怖いものは なにもない。誰も私に手出しできない。そんな大きな安心感に包まれて私は子供のように声を出して泣いた。

私が少し落ち着くまで大悟は力をゆるめることなく抱きしめ続けてくれた。

3年ぶりの大悟の温もりは出会ったあの頃と全然変わっていなかった。
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