別れても好きなひと
ぎゅっと目を閉じて覚悟を決めてから目を開ける。

「ひどいなぁ」

大悟の言葉の通り。部屋は泥棒に荒らされた状態だった。あの男はなにも持ち出す前に私を追って来たから盗まれたものはない。でもクローゼットや化粧品、浴室など荒らした形跡が大きいと警察から聞いている。余計に…気持ち悪い。

「ごめっ…吐きそ…」

私はトイレへ駆け込み胃の中のものを吐ききった。

「オエッ…ゴホッ…」

すべて吐き出しても吐き気が収まらない。絞められた首も痛い。
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