別れても好きなひと
私は久しぶりに大悟の匂いに包まれて熟睡した。眠っている間はぐちゃぐちゃになっている今の自分の状況を忘れられた。

目が覚めるともう11時になっていた。

どちらにしろ今の状態では働けない。接客業務は頬と首のあざが消えないと難しい。

大悟のぶかぶかのスウェットのズボンの裾を手であげておさえながら私はリビングへ向かった。大悟は3時間くらい仮眠して出勤している。

改めて部屋を見渡すと2LDKの広いマンションで日当たりがよかった。部屋は片方が寝室でもう片方は美容に関する本や仕事道具がおかれていた。

今のところ女性の影はない。そんなことをふと思った。
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