一途彼女×S系彼氏
夕方ポストに入っていた写真を握りしめ
玄関へと向かった。


「莉子。」


扉を開けて外へ出ると
私よりも早く声を出したのは颯人。


その表情は
怒ってるでもなく悲しんでるでもなく
ただただホッとしたような感じだった。


「…ごめんね、連絡返さなくて。」


そんな颯人に申し訳なくなって
咄嗟に出た謝罪の言葉。


自然と下に向いてしまった視線を
も一度颯人に向けると
今度は柔らかく笑って


「莉子に何もなくてよかった。」


そう言った。


普段あまり見ない表情と
聞けないような優しい言葉に
涙を我慢するのは限界だった。


「~~うぅ…。っう…。」


「何があった?落ち着くまで待つから
ちゃんと話して。」


ギュッと包まれた温もりに
泣き止むまで身を委ねた。
< 195 / 247 >

この作品をシェア

pagetop