不本意ですが、エリート官僚の許嫁になりました
だいたい、この前の豪ときたらなんなのだろう。
主計局の風間恋子さんが豪のことを狙っているのは、なんとなく知っていた。口説かれているのを見たのは初めてだけど、それを豪が言い訳してくる理由はない。あいつめ、偉そうに『勘ぐられるようなことは何もない』ですって?勘ぐってないわよ!!

豪がどこの誰とごはんに行こうが付き合おうが、私には関係のないことです!家のために結婚するだけの相手……それは高校のときに合意したじゃない。それを恩着せがましく弁解してくるんだから。

そして、私のことも男遊びをしているみたいな言い方をするのがムカつく。
私は豪と違って、誰とも付き合ってません。本家の許嫁を差し置いて、彼氏なんか作れません。分家の人間なので、本家より派手なことはできないんです~!豪みたいに切れ間なく女の子と付き合いまくってたヤツにお互い様だなんて死んでも言われたくない。
最近、豪は彼女がいるような素振りは見せていない。だからって、偉そうに言ってこないでほしい。

ああ、本当に腹が立つ。豪なんて大嫌い。めちゃくちゃ嫌い。

財務省庁舎に到着し、いつもの古いオフィスフロアに階段でたどりつく。すると、横から声をかけられた。

「朝比奈さん」

振り向く前に甘ったるい声ですぐに気づいた。
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